M &Aで時価総額を大きくすることが話題になっている薬局・DS業界
つい先日、スギHDとココカラファインが経営統合の検討と協議開始を発表した。
これで『No.1に名乗り出た。』と話題になっている。
正直な話、ボクは学生時代の時はM &Aはメリットも多いように感じたが、今では疑問である。
あまりにも統率性が取れなくなる可能性が高い。
M &Aのデメリット
①限られた地域にしかなかった薬局が、買収されたことで全国に飛ばされる可能性も出て来た。
(※これによりエリア希望の人は退職したケースが大手のとある買収したところで起きた事がある。(当時の中にいた人に聞いた))
②地方のしがないドラッグストア(DS)などを買収した場合はかなり悲惨なことになる可能性もある
何故なら大した教育もされておらず、のん気にやって来ていた人たちを別会社が買収してしっかりやらせようとしても、そこの会社の人間が皆そこまで仕事ができる人でない場合はかなり厳しい。
ボクはこのケースをひしひしと知っている(体験している)ので、あまりM &Aには良いイメージを感じなくなった。
教育をしても、学ぼうとする気がないし、なんなら反発したりやったふりをするケースが多い。
(こういうやらなければならない事を今まで、緩々でやって来なかっただけなのに、買収されて強いられると反発するのだ。)
つまり、今話題の薬歴未記載などもそうだ。
とある県では、本当に「真面目に個別指導をしとるんかいな」という程のどこいっても何も疑義照会せずにただ薬を「はい」と患者さんに手渡している県がある。
(※恐ろしいことだw)
しっかり指導をする気も県の方もないのだろう。
ボクは想う
「この県で『私は薬剤師です(キリッ)』と思っている人は、他県に行ったら仕事にならんのだろうな。というより、監査もしてないのに出来ないでしょ。と・・・・」
ボクの先輩がとある店舗の薬剤師さんに
先輩 『疑義照会しないといけなかったことは、ここ1年でありませんでした?」
プレアボイド報告:副作用・相互作用・治療効果不十分などで患者様の不利益を薬剤師の力で防いだり、すぐに発見したことで防げた事例はないですかというもの
聞かれた管理薬剤師さん
『0件ですね!疑義照会しないといけないことなど一回もなかったです!』
え?・・・・となりますよねw
1年間って365日もあって、そんなことあります?
(※安易に自分は何も監査もせずに、処方医の処方箋を1000%信用してそのまま出しています。)と言ってるようなものであり。
医薬分業の意味を成していないだろうと。
ボクは数ヶ月で数カ所の薬局で疑義照会案件を見つけた事がある。
パート薬剤師が『Doだったので、粉薬の量とかも適切かは監査しませんでした!』と抜かして来た事があるが、ボクが見つけたのは薬歴からだった。
とある大学病院からの【精神科】と【内分泌】の②つの科からの処方箋だった。
ボクがその患者さん(女性)と会った時は、【内分泌】からの【メルカゾール】の処方箋だった。
上記の内容だけで何で疑義照会したかわかった人はホントすごいw
(※Dr.達なら気づけちゃいそう)
ボクは投薬へ行く前に薬歴をチェックしていた。
前回からが初処方で今回は継続だったのだ。
【精神科】のコンサータ
【内分泌科】のメルカゾール
ボクはこの②科からの内容を見た瞬間に頭をよぎった。
ボク『あれ?コンサータって甲状腺機能亢進症に禁忌だったよな・・・・』
(※探してみるも疑義照会をした形跡が全くない)
ボク 『(これは疑義照会いるかもしれんが、まず患者と話をしてみよう。)あの、前回から初めて違う科からの薬が一緒に出ているんですけども、もしかして先生から一緒に使って大丈夫とか聞いてますか?』
患者さん 『聞いてないです。先生も特に何も言わずに「大丈夫でしょ」という感じだったのであんまり分かってないかもしれません。』
ボクは確信する 『同じ日に同じ科で薬出てるし、知らない可能性もあるかもしれない。一応、疑義しとくか・・・・薬剤部にFAXだから時間かかるなぁ・・・』
処方元の病院へ疑義照会をしたところ、返答がきた。
薬剤部 『今回のお薬(メルカゾール)はそのままでお渡しください。ただ、治療は再検討を行うことになりました。情報提供ありがとうございます。』
というものだった。
やっぱり、処方医の先生達はお互いに気づいてなかったのだと思った。
(※ただ、ここで医師を責めるのは間違いなのだ。あくまで医師の仕事は患者さんの状態を診察して、自分で診察した疾患に対して処方を出している訳で、その処方箋を②枚同時に渡された時にこちらで気づかないといけないのだ。つまり、見逃していた薬剤師側に問題がある。)
ちなみに、メルカゾールというのは女性に多い【甲状腺機能亢進症(美人病)】の治療薬で甲状腺ホルモンを抑える目的で処方される。
美人病と呼ばれる理由には、眼球の裏側にT3、T4という受容体があり、そこに甲状腺ホルモンは結合して刺激を与える。それにより眼球突出が生じて眼が大きくなるからだ。
20歳〜40歳の女性に多い。
ただ、この治療薬 【メルカゾール(チアマゾール)】は【無顆粒球症・白血球減少症】という重篤な副作用が生じる可能性がある。
これには機序が②つほど考えられる。
1. 骨髄からの好中球供給不足による骨髄抑制
2.血液中の滞在時間の短縮→自己抗体による
簡単にいうと、【メルカゾール】が顆粒球にくっついてそこに自己抗体(自分の異物をやっつけてくれるもの)が攻撃して破壊する事で減少が生じるのではないのかとされる。
症状は【咽頭痛】・【38℃以上の発熱】が生じる
(※好発時期は薬を服用し始めた①〜③ヶ月後に生じやすい)
↑が起きたら、直ちに受診を。
話が逸れてしまった。
つまり、話を戻すと監査をハナからする習慣を身につけず【なぁなぁ】でやって来ている薬剤師連中が多い企業を買収するのは別にいいんだけども。
それは、不祥事に巻き込まれて逆に時価総額を減らすことに後々なりかねないという事なのだ。
例えば、買収先の企業の薬剤師達が【薬歴未記載】をする。
【施設在宅】の計画書や報告書も書かずに請求しているなどだ。
今は【薬歴未記載】が大きく取り上げられて問題視されているが、そのうち【施設・在宅の計画書や報告書未記載】で大きく取り上げられる企業が出てくるだろう。
いや、必ず出る。
なぜなら、今は国の方からそっちにシフトしていけと昔から押してるようなもので、色々な企業が「施設・在宅をしないと企業はやっていけなくなる」と判断しているからだ。
数年前とある薬局チェーンの上の人に『施設・在宅をしたくないって子は、それでは仕事をやっていけんよ。』と言われた事がある。
それほど、そっちにシフトする気が満々だったのだ。
そのため、ある程度まで施設・在宅が浸透しきるまでは泳がすんじゃなかろうか()
なんでシフトするのかは理由があり、報酬(点数)が上げられれば、企業としては売上をあげるためにそちらへシフトするのだ。
ボク的には施設・在宅はあまり勧めたくない。
何故かというと、普通の業務すらまともにできない薬剤師達もいる地域で売上第一を目的とした、手間と時間がかなり取られる施設・在宅を推進することは本末転倒でしかないからだ。
物事の本質を見極めれていない。
(ボクは報告書を書くのに朝9時〜13時迄書いていたパート薬剤師も見た事がある。結局17時まで書いていたんだけども。それも1件の在宅でだ。それを何件もやらせてみたらどうなるよ・・・・・)
普通の持ち込みで来られる患者様の処方箋も急いで見逃し、ただ作業的にこなすようになると本当に逃してはいけないものを見逃してしまう。
絶対にやるなという訳ではないが、できる能力を持った数人で必ずやらなければならない。
(※できる人間が一人では必ず失敗する。何故なら、優秀な薬剤師の体は一つしかない。持ち込みできた患者様の処方チェックと投薬をし、施設の方も担当するなんてすれば恐らくその人は疲弊して辞めてしまうだろう。)
まぁ、そのうち必ず【施設・在宅の不正請求】という薬局業界のニュースは必ず出てくる。
(※というよりもやっているところが沢山あることは既に耳に入っているからなんだけれども)
覚悟しておかなければならない。新たな批判の種がまだ存在していることを。
M &Aで繋がった会社が不祥事を起こさないようにすることも買収した側の会社からするとやらなければならない事の一つだろう。