〜生体情報伝達学〜 【情報伝達物質】・【薬理学】②
前回の続き
【Gsタンパク質】
Gsタンパク質は、アデニル酸シクラーゼを活性化させることでcAMP(サイクリックAMP)の合成を増加させる。
cAMPは、重要なセカンドメッセンジャーの一つであり、AC(アデニル酸シクラーゼ)によりATPから生合成され、ホスホジエステラーゼにより速やかに分解されて5’−AMPに分解され不活化される。
cAMPは細胞内では、プロテインキナーゼA(PKA)を活性化させることでタンパク質のリン酸化などの生体内応答を引き起こす。
【Giタンパク質】
Giタンパク質は、AC(アデニル酸シクラーゼ)への抑制を引き起こす。
そうすると、Gsでは活性化されていたcAMPは抑制される。
一方で、自由の身となったβγサブユニットはK +チャネル開口の働きを行う。
コレラ毒素は、ADPリボシル化というADPリボース(糖の一種)を人のタンパク質の中のαサブユニット:アルギニン残基に対して行う。
ADPリボース化は、活性化状態の固定のようなもので、cAMPが持続活性化される。
それにより電解質と水の漏出、塩化物、イオンなどの過剰分泌が引き起こされ下痢症状を生じる。
【Gqタンパク質】
Gqタンパク質は、PLC(ホスホリパーゼC)を刺激し、
PIP2(ホスファチジルイノシトール2リン酸)を
・IP3(イノシトール1,4,5トリスリン酸)
および
・DAG(ジアシルグリセロール)へと分解する。
IP3は更に、IP3受容体に結合し、筋小胞体からCaイオンを放出させる。